ナマポの引力 「悪い夏」

ミステリー小説

『悪い夏』染井為人

📁ミステリー小説 【私の評価】★★★★☆(82点)

第37回横溝ミステリ大賞受賞作です。

市役所に勤める生活保護のケースワーカーの守(まもる)が主人公です。

生活保護の部署に異動してきたばかりの守は、不正を行っている同僚を調査するうちに、とんでもない事件に巻き込まれていきます。

展開がスリリングで、一気読みすること間違いなしです。

守の周りには、様々な人が集まってきます。

それは皆、生活保護の引力に引き寄せられて集まって来たと言っても過言ではありません。

生活保護を受けている人、受けたい人、受けている人からお金をむしり取りたい人などなど。

そして真に生活保護が必要な人には、その支援の手は届かない。

生活保護(ナマポ)が持つ力をまざまざと描いている作品です。

是非、ご一読ください。

ちなみに、欲を言えば、題名の「悪い夏」というのは、もう少し工夫できたらよかったとのにと感じました。

「夏」の暑さは、ところどころに描かれていますが、夏に何か意味があるわけではありませんし、この題名を見ても、生活保護のことを扱っているとはわからないからです。

題名だけは不満ですが、中身は面白いこと間違いありませんので、おススメです。

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