生と死の境目から聞こえる声 「真夜中のたずねびと」

ミステリー小説

「真夜中のたずねびと」恒川光太郎

📁ミステリー小説 【私の評価】★★★★★(93点) 

直木賞を受賞された作家の方が、You Tubeでこの本をお勧めしていたので、読んでみました。

五作の短編で構成されていますので、読みやすいです。

それでいて、ホラーと言ってもいいのかもしれませんが、独特の世界が展開されています。

「ずっと昔、あなたと二人で」「母の肖像」「やがて夕暮れが夜に」「さまよえる絵描きが、森へ」「真夜中の秘密」の五作品です。

恒川光太郎という作家の作品は初めて読みましたが、衝撃でした。

中でも、「母の肖像」と「さまよえる絵描きが、森へ」が、素晴らしいです。

「母の肖像」では、何度も「え?」と、思わず声が出てしまうほどの驚きがあります。

また、「さまよえる絵描きが、森へ」は、夫を轢き殺してしまった殺人犯が、その事実を隠しながら、遺族の妻にモデルを依頼して絵を描くという、最大に狂気的な、恐ろしい物語です。

この世の中で最も冒涜的な行為ではないでしょうか。

それでいて、ずっと罪の意識に苛まれ続ける犯人の心理を見事に描いています。

読んだことがない人は、一度は読んでほしいと思える作品です。

是非、ご一読ください。

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