どこまでも突っ走れ! 「無敵の犬の夜」

新鋭の注目小説

『無敵の犬の夜』小泉綾子

📁新鋭の注目小説 【私の評価】★★★★★(90点)

田舎の青年、界(かい)の物語です。

界は、橘さんという先輩に出会い、憧れるところから、この物語は始まります。

橘さんは、田舎では一目置かれた存在です。

橘さんは、都会に遊びに行き、武勇伝を引っ提げて戻ってきて、界はますます橘さんに惹かれます。

ですが、数日後、橘さんは恨みを買って襲撃され、復讐に怯えて生きる哀れな男になります。

そんな橘さんを見たくなくて、界は代わりに成敗しに都会に出かけていきます。

向こう見ずで、思い込んだら一直線。

界はまさに、「無敵の犬」です。

若い頃なんて、みんな、そんなものですよね。

格好いい男の先輩に憧れて、その先輩の行動、表情、ファッション、すべてが良く映ります。

そして、自分もそうなりたいと思います。

そこには、善悪の判断など介在する余地はありません。

ただ、走るのです。

走るために走るのです。

それが、青春であり、若いということなのだろうと思います。

この小説は、第60回文藝賞を受賞しています。

界と一緒に駆け抜けることができる作品です。

是非、ご一読ください。

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