はじめに
陸上のアニメ映画は、珍しいのではないでしょうか。
「ひゃくえむ。」は、文字通り、100m走を専門とする陸上選手の物語です。
陸上部を経験した人、特に100mを走ったことがある人は、絶対に見た方がいいです。
この映画の魅力を解説したいと思います。
リアルな作り
とにかく走りがリアルで綺麗です。
アニメとは思えないほど、フォームがしっかりしています。
しかもトラックをスパイクで蹴る音も、本物そのものです。
メイキング映像を見ると、実際の100m選手に走ってもらって音を取ったり、フォームを写したりしているようです。
このスピード感。
このリアルさ。
まるですぐそばで見ているよう。
絶対に劇場で見るべきだと思います。
100m走の陸上選手について
陸上競技、特に100m走を含めたトラック競技は、自分の体一つで勝負します。
特に100m走は、戦略もなければ、戦う相手もいません。
ただただ、100mを早く走る。
これだけです。
100m走も競争しているじゃないかと思われるかもしれませんが、サッカーや野球のように、相手と戦うわけではありません。
競って並走して走りますが、相手は自分自身であり、記録なのです。
目の前には、真っすぐに伸びる100mがあるだけ。
たった10秒で、今まで自分が100mに賭けてきたことの結果が出るのです。
残酷で、清々しくて、悲しくて、楽しくて、いろんなものがあるようで、何もないような、100m。
陸上競技の中でも、これほどシンプルで人を惹きつける競技はないのではないかと思います。
100m走の陸上選手に着目したことに、この作品の最大の魅力があると思います。
主人公のトガシについて
主人公のトガシは、小学生の頃から全国一、足が速いという才能を持っていました。
足が速いというのは、それだけで素晴らしい。
ですが、足が速いからこそ、トガシは100mをコンマ秒で戦う厳しい世界に、投げ込まれていくのです。
毎日毎日、100mを走りぬく。
何のために走っているのか。
シンプルな競技だからこそ、奥が深い。
主人公のトガシは、紆余曲折の競技人生を通して、その厳しさとガチさを伝えてくれました。
名言が続々
100mに賭ける選手は、トガシだけではありません。
いろいろな選手がいて、それぞれ100mに賭ける思い、考え方、向き合い方が違います。
だからこそ、面白い。
各選手から、いろんな名言が出てきます。
それは人生の名言にも通じます。
もう一度、聞きたい、そう思える名言ばかりでした。
最後はどっちが勝った
ここからはネタバレを含む可能性がありますので、ご注意ください。
最後に、トガシはある人物との勝負となります。
最後はどちらが勝ったんだろう。
もちろん、この作品はそこじゃないということを表現したかったのだと思います。
でも、気になる。
個人的な感想を言えば、トガシはあと一歩届かずに、負けたのだと思います。
そのシーンと関連して、少し気になる前のシーンもありました。
小学生の時、トガシは同じ相手と勝負をします。
そこでも相手はトガシを抜いています。
ですが、勝負はトガシが勝ったことになっています。
おそらく、100mを越えたところでトガシを抜いたということかもしれません。
大人になっての再勝負。
今度は100m以内で相手がトガシを負かした。
いや、100mを越えたところではトガシが相手を抜いていたかもしれない。
100mという限られた距離で勝敗や人生が決する、絶対的な距離。
二人の勝負が、そのことをより際立たせていたと思います。
おわりに
臨場感が物凄い作品です。
是非、映画館でご覧ください。
原作は、魚豊さんの漫画です。
こちらもおススメです。





