『神様の裏の顔』藤崎翔
📁ミステリー小説 【私の評価】★★★★★(90点)
誰からも慕われた校長先生のお葬式が舞台です。
読経、焼香、喪主挨拶、通夜ぶるまいと進んでいくにつれて、校長先生と関わった人達の語りと交わりにより、校長先生の本当の顔が明らかになっていきます。
題名にあるとおり、とても良い校長先生に裏の顔があったという物語なのだろうと思っていました。
それはそれで面白かったのですが、題名から想像がついてしまい、予想どおりに展開していくつまらなさを感じてきた中盤を過ぎたころでした。
あれ、話の展開が変わってきた。
そして、予想を覆し、物語は結末に進みます。
さらに、最後の最後に、またもやどんでん返し。
二転三転四転して、ようやく終結となります。
六つもの事件を、七人の登場人物を駆使して、展開させる手腕、見事としか言いようがありません。
第34回横溝正史ミステリー大賞受賞作であること、頷けます。
唯一の何点は、七人の登場人物のそれぞれの語りで、全編が構成されていて、場面展開に乏しく、読んでいて少し疲れることです。
ですが、こういう七人の語りという構成にしなければ、最後の最後のどんでん返しが仕組めないため、あえてそうしたのだと思います。
ミステリーとして、よく考えられた秀作だと思います。
是非、ご一読ください。
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