『君のクイズ』小川哲
📁ミステリー小説 【私の評価】★★★★★(90点)
優勝決定戦の最終問題。
出題者が一言も発しないうちに、本庄絆が回答ボタンを押し、正解した。
なぜ彼は問題も一文字も聞かないうちに、正解できたのか。
これが「君のクイズ」で設定された最大の謎です。
対戦相手の僕は、この謎を解明するために、本庄という人物に迫っていきます。
この作品を読んで、早押しクイズの世界に初めて引き込まれました。
早押しクイズは競技である。
そして、より多くの知識を持っている人が優勝できるわけではない。
回答者は、問題が全部読まれるまで待っていては、押し負けてしまいます。
このため、問題が読まれている途中で、どんな問題なのか絞れた段階で、早押しするのです。
そして、早押しした段階では、まだ回答者自身、答えがわかっていないのです。
答えるまでの少しの時間で、頭の中で問題を推測し、回答を引っ張り出して、答えるのです。
それは、私たち素人にとっては、まるで魔法のように感じます。
しかも、最大の謎である、本庄絆がやってのけた、問題を一文字も読んでない段階での、ゼロ文字での早押しによる正答。
これは、誰が見ても、魔法だと思わざるを得ません。
ですが、これにもタネがあったのです。
この作品は、そのタネを明かすミステリー作品であるだけでなく、僕にとってクイズとは何か、本庄絆にとってクイズとは何かというところまで、掘り下げて、その人の人生を描いています。
とても面白くて、素晴らしい作品です。
読む価値あり!です。
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