読み進めるほど面白さが増す! 木挽町のあだ討ち 感想と解説&考察「

感動小説

📁ミステリー小説 【私の評価】★★★★★(97点)

『木挽町のあだ討ち』 永井紗耶子

父親を殺された息子が、殺した相手をかたき討ちするお話です。

なぜ、題名が「仇討ち」ではなく、「あだ討ち」なのか。

最後の最後に、この謎が解け、今までの伏線が全て回収されます。

お見事としかいいようのない物語です。

この作品は、あだ討ちが見事になされて、年月が経った後に、一人の男が、そのあだ討ちを目撃した人々を訪ね歩き、話を聞く形で展開されます。

あだ討ちがどのような様子だったのかだけではなく、語り部の人生についても詳しく聞いていきます。

最初は、あだ討ちの様子こそが主題であって、それを目撃した語り部の人生はおまけのお話だと思っていました。

ですが、そうではありませんでした。

あまり書くとネタバレになってしまいますので、ここらで止めますが、語り部たちの人生自体も、とても読み応えがあるものになっています。

物語の世界を存分に味わい、外に出て振り返ると、細部まで組み込まれた素晴らしい建築物の中にいたんだと気づかされる、そんな読後の感想でした。

直木賞と山本周五郎賞のW受賞作品です。

おススメです。

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