犬の存在が温かい 「少年と犬」 あらすじ

感動小説

『少年と犬』馳星周

📁感動小説 【私の評価】★★★★☆(90点)

あらすじ

「多聞(たもん)」という名前の犬(シェパードと和犬の雑種)が主人公です。

多聞は、ずっと何かを探して、放浪します。

そして、行く先々で、いろんな人に出会います。

様々な境遇に置かれた人の傍に、多聞はじっと寄り添います。

多聞は犬ですから、話すことはできません。

ですが、「沈黙は金なり」と言いますが、話すことができないからこそ、時には人間以上に心が通じ合うということもあるのではないでしょうか。

そんな多聞の旅と人々との出会いが、7話を通して、描かれています。

感想

多聞は賢い犬です。

出会った人がどのような状態に置かれているのか、何も伝えなくても、感じ取っているような賢い犬です。

この小説には、7人の人が登場します。

共通しているのは、みんな何かを抱えていること。

病気、孤独、貧乏、トラウマなど、さまざまです。

そして、どれも逃れようがない苦しみです。

こんな時、人は一体どうすればいいのでしょうか。

多聞は、解決策を教えてはくれません。

ですが、一緒にいてくれます。

そして、自分の役割が終われば、そっと離れていきます。

おわりに

この作品は、第163回直木賞を受賞しています。

作家は、「不夜城」などで有名な馳星周さんです。

アウトローを題材としているイメージを持っていたので、そんな馳さんが書く「少年と犬」とは、どのようなものなのか、読みました。

そこにあったのは、馳さんだからこその、凛々しさと優しさを併せ持つ、孤高の犬がいました。

犬好きの方も、犬とはあまり接点がない方も、是非、お手に取ってみてください。

タイトルとURLをコピーしました