盲目の女性の圧倒的な存在感! 「ユージニア」

ミステリー小説

『ユージニア』恩田陸

📁ミステリー小説 【私の評価】★★★★☆(88点)

謎解きをしたい方には、少し評価が分かれる作品かもしれません。

冒頭に、金沢の名家である青澤家で大量毒殺事件が起こり、家族や親戚以外も含めて十人以上が犠牲になるというミステリアスな事件が起こります。

そして、当時のいろんな関係者に話を聞く形で、物語が語られていきます。

まるで、読者自身が、刑事や記者になったかのような視点で、読み進めていくことができます。

読み進めるうちに、事件の犯人は誰なのか、うっすらと事件の全貌がおぼろげにわかってきます。

ですが、犯人は誰でその動機は何だったのか、最後まではっきりとは書かれません。そのような本質的な部分はミステリアスなまま残されます。

本書が単なる謎解きで終わるのではなく、事件の本質的な部分はミステリー(謎)の匂いを残したまま、事件で唯一の生き残りである盲目の緋紗子を通じて、世界のあり方そのものを問いかけるような、恩田陸さんならではの作品になっていると思います。

ミステリー小説の奥深さを味わいたい方は、是非お読みください。

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