「ザ・ロイヤルファミリー」早見和馬 (感想と解説)
📁感動小説 【私の評価】★★★★★(100点)
題名が「ロイヤルファミリー」とありますので、財閥の経済小説かなと思い、手に取りました。
ですが、全くの予想外でした。
ロイヤルファミリーは、確かに人材派遣会社のワンマン社長が中心人物としているのですが、会社の経営の物語ではなく、なんと、馬主の物語でした。
馬主になれるのは、相当のお金持ちである一握りの人です。
ですが、儲かる時もあれば大損することもある、ある意味究極のギャンブルです。
私には想像がつかない世界ですが、大変なことの方が多いのかもしれません。
この作品は、そんな馬主の生涯を、二代にわたって追いかけています。
単なる馬主の成り上がりの物語ではなく、競走馬の人生、ジョッキー、調教師、厩舎の経営者など、競走馬を取り巻く様々な立場の人間が織りなすドラマになっています。
いろんな人の想いを載せて走る競走馬。
と思っているのは、人間の都合のよい想像かもしれません。
馬にはそんな人間の想いなど、全く関心がなく、ただひたすらに気の赴くまま走っている。
ですが、ごくまれに、人間と馬との心が通じ合ったと思う瞬間がある。
有馬記念めがけて失踪する、ロイヤルファミリーの物語。
山本周五郎賞受賞作品で、JRA賞馬事文化賞も受賞しています。
おススメですので、是非、お読みください。
この作品の最後の1ページが、秀逸です。
最後の1ページは、どんなに文字を重ねても、これにかなうものはないはずです!
リンク